セミオーダーを始めて約間もない2010年ごろ、まだ型数は少なくバナナショルダーとトートバッグ、各1型位しかありませんでした。
イタリア植物タンニンなめし革のミネルバボックスを使い始めた頃でもありましたが、まだまだ世には知られていませんでした。
知人を通じて口コミで、制作させていただいた”バナナショルダーMサイズ”
旅立ってから約10年ぶりに戻ってきました。
約10年の間、いろいろなところへお出かけして使っていただけたことを嬉しく思います。
裏地総取り替えの修理
さて、裏地を総取替するのですが、革は全て生かすので、まずは慎重に糸をほどいていきます。
最後のまとめ縫製0番糸から。
ブッテーロ元厚は全く下手ってなく、艶が上がってて美しい。
ひっくり返して、グログランテープをほどく。
裏地全解体。
革も一緒に並べてみる。
ミネルバボックスはオイルが抜けない
ミネルバボックスはイタリア・バケッタ製法で作られています。
バケッタ製法とは植物タンニンなめしの中でも、牛脂を含む秘伝のオイルを皮の芯までじっくりと時間をかけて染み込ませる製法で、時間もコストもかかるのを承知の上で、本来の革らしい革を作るという明確なコンセプトを古来から伝承しています。
約10年メンテナンス無しでしたが、日頃使っていただけているので革の中に染み込んだオイルが革全体を行き来し乾燥を防ぎ、また植物タンニンなめし、染料による色艶の上がった経年変化もとても神秘的な表情となっています。
未だしっとりしていましたが、約10年ぶりの再会なので、オイルを馴染ませました。
ミネルバボックスとは
センターステッチ
当時のデザインはセンターに0番糸のステッチを入れていましたが、長年の使用で擦れてしまったので再度ステッチをかけました。
裏地
当時の裏地はベージュでしたが、気分を変えてブルーグレーに。
裏地のポケットも全て新たに縫製し、ファスナーを貼り合わせます。
革の身頃には以前のミシン穴があいているので、人針人針慎重に縫い合わせます。
番手は8番です。
まとめ縫製、もうすぐです。
ひっくり返した後、最後は根革のブッテーロと本体を0番糸で縫製。
同じく針穴を一つ一つ拾って慎重に縫製。
完成
ミネルバボックスとブッテーロの約10年のエイジングです。
♢素材
本体:ミネルバボックス(イタリアの名門タンナー、バダラッシー・カルロ社による植物タンニンなめし牛革)色/オルテンシア(約10年)
根革、引き手:ブッテーロ(イタリア老舗タンナー、ワルピエ社によるトスカーナ植物タンニンなめし牛革)色:ブルー(約10年)
内装:コットン・ベージュからブルーグレー
金具:真鍮(日本製)クロ剥きメッキ
ファスナー:YKKエクセラ(日本製)アンティークシルバー
Ⅿサイズ
340mm×190mm×90mm(ファスナー430mm)
ショルダー立上り:420mm(100mm程度調整可能)ショルダーベルト幅:40mm
重量:800~850g
ミネルバボックス/オルテンシア
約10年前のミネルバボックスのオルテンシアはこの色なんです。
現在のバナナショルダーは
現在のバナナショルダーのMサイズはセンターステッチのないデザインです。
Lサイズはセンターハギはありますが、内縫いになり表にステッチは出ないデザインです。
生まれ変わりました。
ブルーグレーで新規に作り直しさせていただきました。
これであと、10年はいけると思います。
息子さんのも
当時、息子さんの大学祝いにとプレゼントされたバナナショルダーも同時期で、再生させていただきました。
色はアップルグリーンをセレクト。
修理の対応
HIS-FACTORYで制作した鞄は10年経っても、その先もできるがぎりの修理はさせていただきます。
これが私がやりたかったものづくりです。