約8年前に制作したバナナショルダーのMサイズ・ミネルバボックス/オルテンシアが里帰りしました。
センターステッチのほつれと裏地がだいぶ疲れてきたので、総取り替えのリクエストにお応えさせていただきました。(※昨年2024年8月修理制作)
約8年使い込まれた証
本体はまだまだ現役のバナナショルダーMサイズのミネルバボックスのオルテンシア。
でも、センターステッチの糸が長年の使用で擦れてほつれてしまいました。
糸を解いて分解
まずは、本体とショルダーのブッテーロの根革の糸を解きます。
裏地も交換のタイミングを迎えていましたので、こちらもひとパーツ、ひとパーツずつ解いていきます。
今回、中のファスナーポケット革やベタポケット革も使用するので丁寧に解きました。
オイルメンテナンス
ミネルバボックスはオイルが抜けない
ミネルバボックスはイタリア・バケッタ製法で作られています。
バケッタ製法とは植物タンニンなめしの中でも、牛脂を含む秘伝のオイルを皮の芯までじっくりと時間をかけて染み込ませる製法で、時間もコストもかかるのを承知の上で、本来の革らしい革を作るという明確なコンセプトを古来から伝承しています。
約8年メンテナンス無しでしたが、日頃使っていただけていたので革の中に染み込んだオイルが革全体を行き来し乾燥を防ぎ、また植物タンニンなめし、染料による色艶の上がった経年変化もとても神秘的な表情となっていました。
せっかく、約8年ぶりに一枚の状態になったので、オイル(ラナパー)を塗り込みました。
ミネルバボックスとは
センターステッチ縫製
当時のデザインはセンターに0番糸のステッチを入れていましたが、長年の使用で擦れてしまったので再度0番ステッチを縫製。
裏地
当時の裏地はベージュでしたが、気分を変えてターコイズブルーに。
本体と裏地とファスナーの縫製、革の身頃には以前のミシン穴があいているので、ひと針ひと針慎重に縫い合わせます。
糸の太さはは8番です。
0番ステッチ
まとめ縫製が終わると、最後に本体と根革の縫製。
ブッテーロの根革は同じく針穴を一つ一つ拾って慎重に縫製、糸は極太ステッチ0番。
完成
全て分解されたパーツを組み合わせ、完成いたしました。
約8年間、使い手とともに歩んだミネルバボックス、オルテンシアのブルーグリーンが、深く静かな森のような色合いに育っています。
これぞ、育てる革の醍醐味。
裏地はターコイズブルー。
中の革パーツはそのまま使用しました、使い慣れたそのままの仕様です。
♢素材
本体:ミネルバボックス(イタリアの名門タンナー、バダラッシー・カルロ社による植物タンニンなめし牛革)色/オルテンシア(約8年)
根革、引き手:ブッテーロ(イタリア老舗タンナー、ワルピエ社によるトスカーナ植物タンニンなめし牛革)色:ブルー(約8年)
内装:コットン・ベージュからターコイズブルー
金具:真鍮(日本製)クロ剥きメッキ
ファスナー:YKKエクセラ(日本製)アンティークシルバー
Ⅿサイズ
340mm×190mm×90mm(ファスナー430mm)
ショルダー立上り:420mm(100mm程度調整可能)ショルダーベルト幅:40mm
重量:800~850g
ミネルバボックス/オルテンシア
約8年前のミネルバボックスのオルテンシアはこの色なんです。
現在のバナナショルダーは
現在のバナナショルダーは身頃のセンターのハギのステッチの無いデザインになっており、またハギの無い一枚仕立てのデザインもお選びいただけます。

センターハギ無しの一枚仕立て

センターハギありのステッチ無し