今回はカスタムオーダーでお作りさせていただいたブッテーロ/ネイビーの手縫いのトートバッグのご紹介です。
カスタムオーダー、セミオーダー、フルオーダーとは
カスタムオーダーとはHIS-FACTORYオリジナル型にポケットや根革、持ち手などのパーツのデザインを改良しお客様好みに作り変えます。
セミオーダーはHIS-FACTORYのオリジナル型を在庫がなくても色を変えたりして一つからお作りさせていただいています。
フルオーダーになりますとデザイン、型紙、試作、全て０から形にしてお客様だけの完全オーダーメイドになります。
今回お作りさせていただいたのは手縫いで作るトートバッグのLサイズを元にカスタムオーダーで制作させていただきました。
ヒアリングからまずスケッチを作成します。
墨田区吾妻橋の小さな工房にて、一つ一つ製作しています。
素材はイタリア植物タンニン鞣し革、ブッテーロ
ブッテーロはイタリア古来から続く老舗タンナー、ワルピエ社が化学薬品を使用せず植物タンニンのみで皮から革へと製作しています。
厚みは3㎜前後、オイルが多く含まれながらも堅牢な仕上がり。
薄化粧仕上げで傷やトラは見える反面、天然素材な自然な表情と透明感のある色合い。
使い込むほど、色濃く変化していく表情、ナチュラル感はイタリアならではの色合いです。
色はネイビー
裁断
まず傷やシミなどを避けて型紙を置いて取り都合を考えます。
深い傷や汚れ等と判断する箇所は避けていきますが、自然な傷と判断したのは堂々と使用いたします。
トラは自然の証で唯一無二の美しい模様です。
透明感がありながらも芯まで染まっているネイビーの色合いは、惚れ惚れします。
型紙に沿って革切り包丁で一枚一枚手断ちしていきます。
根革、引き手はHIS-FACTORYオリジナルの型を採用し、クリッカーで裁断。
コバ漉き
はぎ下になるところは吟むきし、コバ漉きで厚みを調整します。
縫製
背胴には縦向きのファスナーポケットのリクエスト。ファスナーのテープ色はYKK910番を取り寄せ、糸色にもこだわりがあります。縫製は平ミシン8番。
根革は0番糸でしっかり縫製。
底のコバを面取り。その後コバ磨きで艶出しします。
本体は手縫い
各パーツは、平ミシン（8番糸）や腕ミシン（0番糸）で縫製した後は、本体の手縫いです。
ガイドに合わせて菱目打ちで慎重に穴を開けます。
大きなレーシングポニーで一目一目手縫いです。
クランプを利用して押さえています。
今回は麻糸ではなく、ビニモの0番糸を使用。
反対側はやりずらい。
身頃と底がつながりました。
次はマチを縫います。その前にしっかりボンドで留めてから。糸は18番とちょっと明るいブルー。
下から縫い合わせています。
そして、三角のマチを縫います。ブッテーロは硬いので、貼り合わせはかなり慎重に合わせました。
そして裏地とのドッキング。
手縫いの口前まとめです。
手縫いはとても時間がかかりますが、ミシンの押さえの跡がつかなくてとても綺麗です。
完成
♢素材
本体：ブッテーロ（イタリアの名門タンナー、ワルピエ社による植物タンニンなめし牛革）
根革、引き手：ブッテーロ（イタリアの名門タンナー、ワルピエ社による植物タンニンなめし牛革）
色：ネイビー
糸色：18番手
内装：コットン
金具：真鍮（日本製）
ファスナー：YKKエクセラ（日本製）
サイズ：幅45cm（口前）32㎝（底）×高さ30cm×マチ15cm
底鋲は真鍮
マチの手縫いが1番難しかった。
糸は18番とちょっと明るいブルーをチョイス。
持ち手はアドラーによる0番糸縫製。持ち手止めをつけました。
内装はペットボトル入れ、ペン刺しをカスタム。
片面（前側）はアオリポケット。
ワークショップ（バッグ教室）では手縫いのトートバッグ3型やミニボストンなど指導の元、たくさんの手縫いの鞄が旅立って行きましたが、自らオーダーメイドにお応えする機会はあまり少ないので、貴重な経験になりました。
S様のこだわりはブッテーロをご理解していただいていたこと、ポケット箇所、アオリポケットなどのご要望をミシンとの融合で多彩な事が実現できることができました。
また色にもセンスが光りブッテーロの濃いネイビーに対して、さりげなく糸とファスナーの色を少し明るめにしています。
ご来店いただいた時、色々な鞄屋さんをリサーチしてHIS-FACTORYを選んでいただいたこと、とても嬉しく思います。
S様ありがとうございました。
