Polacco(ポラッコ)のショルダーベルトのナスカンの修理です。
ヘビーユーザーさん
ヘビーユーザーさんのFさん、いつも重い荷物をお持ちのようで、ナスカンがもう少しで擦り切れてしまうところでした。
根革
ショルダーベルトとナスカンの根革(ブッテーロ)は、長期使用に耐えてもらうため、3㎜のまま漉いていません。
期待通り痛んでいませんが、裏当ての革を交換し補強しました。
0番糸
0番糸で一つ一つ針穴を拾ろいマス。
完成
ナスカンもよく頑張ってくれました。
長期使用に耐える縫製
ビジネス系の鞄や大きめなトートバッグの持ち手やナスカン、Dカンの根革の革は約3㎜のブッテーロを使用しています。
ブッテーロは硬目の革で、長期使用に耐えられるようオイルも多く含くまれて、乾燥しにくく、植物タンニンで鞣されています。
荷物が多い方やヘビロテの方もためにも耐えられるよう、補強芯も入れ、根革も重ねて縫製しています。
Dカンは5㎜線を使用しています。
真鍮素材で、経年変化し、今回の修理でDカンは全く痛んでいませんでした。
0番糸と真鍮金具にこだわる理由
私は、以前”製造メーカー”で他社製品の生産管理をしていました。
クライアント(問屋)のデザイナーさんの要望を、うちの職人さん(または工場)に作ってもらって、納品するという流れ。
コスト(卸値)が決まっているので、それ以上の工賃も材料もかけられない。
そういう商品は修理で送られてきた鞄は無残な姿もありました。
それはコストダウンのため革は安価で、乾燥しやすくボロボロになっていて”味”と言えるのだろうか?と不思議な気持ちでした。
金具は鉄、キャストのメッキなどで下地のニッケルメッキが、なんかやるせない気持ちも湧きました。
当時は、下請けだと”仕事だから”仕方ないと思い込んでいました。
でも自分のブランドで作るならそうならない鞄を作りたい、そう芽生えてきました。
そういう体験があったので、耐久性とデザインを考え、長期使用に耐えられる厚み、糸、縫製であれば10年、いや20年はいける、ガンガン使って欲しいそう思って制作いるのです。