約8年前製作したバナナショルダーのMサイズ(R・アンティコ)。
その後、数十回の海外出張、旅行のお供にも活躍してくれたとエピソードをいただきながら、裏地取り替えのご依頼です。
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約8年の経年変化。サーモンピンクのような色あいから、深みのあるオレンジというかレンガというか、風格のあるアンティークに育っています。
素材はミネルバボックス
イタリア植物タンニン鞣し協会が認める”牛脂”を使用した”バケッタ製法”で作られているミネルバボックス。
ボックスとはイタリア語でボコボコ、凸凹の意味しており、銀面の表情はそれぞれ異なる”シボ”があり、薄化粧仕上げのため傷やトラは隠れにくい反面、素材の味を活かす唯一無二の個性のある表情があります。
使い込むほどに色艶が上がってくる表情はイタリアならではのナチュラル感溢れる経年変化がお楽しみいただけます。
タンナー:イタリア、トスカーナ・バダラッシ・カルロ社
解体作業
まずは丸カンと本体を繋ぐ根革の0番糸からほどいていきます。
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糸が太くしっかり締まっているので切りずらい。ブッテーロのピンクの革は生かすのでしんちょうです。
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切り離しができました。
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裏地、ファスナー、本体の革を縫製している8番糸をほどいています。
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裏地は処分するので気は楽です。
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ファスナーが解体されました。
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ボロ隠しとも云われるグログランテープを解きます。実はファスナーより先にこちらを解くのが先でした。
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本体のまとめ縫製の糸をほどきます。
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全部解体できました。裏地は処分します。8年間よく頑張ってもらいました。
ミネルバボックスをメンテナンス。
牛脂を使用した”バケッタ製法”で鞣されたミネルバボックスは8年使用後も乾燥していません。
縫い代のピンク色が元のR.アンティコの色でサーモンピンクのような色あいから、深みのあるオレンジというかレンガというか、風格のあるアンティークに育っています。
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オイルが効いているので、傷がついても擦ると復元しているの傷はほとんで残っていません。
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ラナパーを塗りこんで、栄養を与えました。
新規裏地裁断
心機一転でベージュからサーモンピンク色をセレクトされました。
縫製
身頃の0番糸も擦れていたので新しく縫製し直しました。
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今のデザインはこのハギによるステッチは無いデザインになっています。
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ファスナーの縫製 8番。ファスナーも新品です。
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裏地が完成しました。
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まとめ縫製、縫い代は5ミリですが、ミシン目が開いているので、ほんの僅か深くします。
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グログランテープ巻きが完成。あとはひっくり返し。
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最後は0番糸で根革を縫製。当時はミネルバボックスを貼り合わせしていますが、裏も銀付きで厚みもあり問題ないので再利用。
完成
ステッチは一穴も落とすことなく拾うことができ、無事完成しました。
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引手もステッチをかけ直しました。
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真鍮もマルカンもピカールで磨きました。
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パッと中がピンクで可愛い。
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8年使い切ったベージュの裏地、お疲れ様でした。
逆再生して一目一目糸切って解体してまた縫製し直すというのは、一から作るのとそれほど差はないのですが、自分で作ったものがまた生まれ変わってその人に使われると思うと嬉しくて作り手冥利に尽きます。
また今日から8年使っていただけると幸いです。