今年2月に完成したセミオーダーのバックパックLサイズ(リュック)の制作工程から完成までをご紹介します。
出来上がってからの手縫い

菱目打ち

手縫い開始

ショルダーベルトのわずか5ミリの縫代だけでは安心できなくて、最後にぶっ通しで手縫いして補強しています。
量産品の場合、縫い目を隠すためにグログランテープを当たり前のように被せて縫製し、60本、100本と大量に作られています。そのため「ボロ隠し」と言われることもあります。
しかし、1点もののバックパックでは、通常の5ミリ幅だけの縫製では強度に不安が残るため、私は約15ミリ幅まで深く縫い代を出し、最後に手縫いでしっかりと縫い合わせています。
この方法なら、5ミリ幅の縫い代からほつれる心配はありません。見た目よりも強度を最優先に考えて仕上げています。
完成
素材
本体/ミネルバボックス(イタリアの名門タンナー、バダラッシー・カルロ社による植物タンニンなめし牛革)
内装/コットン
ファスナー/YKKエクセラ
サイズ:H46cm×W32cm×D13cm
重量:計測忘れ
ミネルバボックスとは
ミネルバボックスは、イタリア植物タンニン鞣し協会が認める“牛脂”を使用した「バケッタ製法」で作られた革です。
「ボックス」とはイタリア語で“ボコボコ”という意味があり、その名の通り、銀面には一つ一つ異なるシボ(凹凸模様)が現れ、唯一無二の豊かな表情を楽しめます。
使い込むほどに色や艶が増し、イタリア革ならではのナチュラルな経年変化を味わえるのも特徴です。
さらに、牛脂を含む秘伝のオイルをたっぷりと染み込ませたバケッタ製法のミネルバボックスは乾燥しにくく、普段のお手入れは乾拭き程度で十分です。
※染料染めのため、使い始めは色落ちする場合があります。白い服などへの色移りにはご注意ください。
また、ミネルバボックスは薄化粧仕上げのため、傷やトラ(生来のシワや模様)が隠れにくい反面、素材そのものの味わいが引き立ちます。使うほどに艶と深みが増し、飴色へと育つ、唯一無二の経年変化をお楽しみいただけます。
長期に耐えられるような素材ですので、力が掛かる箇所は漉かずに縫製、全体的にも革漉きは厚め、永く愛用していただけるように縫製しています。
一点物制作だからできるシンプルと強度を組み合わせた逸品です。

ファスナーは見えないように、少々の雨に濡れないようにと。

後ろにはファスナーポケット。背当てのショルダーは50㎜幅で5ミリ厚のウレタン入り。

マチは両サイドポケット。スマホなどに最適。

前ポケットもたっぷり。裏地で剥いだり、セコいことはしません。

内装にはファスナーポケットを設けており、バッグの下部に配置しています。

2層のポケットも同様に、バッグの下部に配置しています。底部分にはスポンジ入りの底芯を使用しており、取り外しも可能です。
ミネルバボックス R.アンティコの経年変化はこちら。
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