今年1月に完成したブリーフ鞄の制作工程から完成まで。
原型のブリーフ鞄polaccoのサイズ変更、仕様変更のフルオーダーです。
素材
本体/プエブロ・オルテンシア(イタリアの名門タンナー、バダラッシー・カルロ社による植物タンニンなめし牛革)
持ち手、金具部分の補強革/ブッテーロ・ブルー・ワイン(イタリア・トスカーナ植物タンニンなめし牛革)
内装/コットン
金具/真鍮
ファスナー/YKKエクセラ
サイズ:H30cm×W40cm×D12cm、ハンドル立ち上がり13cm、ショルダーストラップ無し。
重量:約1400g
牛脂を使用したイタリアバケッタ製法で作られた、プエブロは吟面を手作業で擦り、細かな模様を付けています。二つとない独特な表情があり、通常の吟擦りでは味わえない、経年変化がお楽しみいただけます。自分だけの色へと育っていきます。
長期に耐えられるような素材ですので、力が掛かる箇所は漉かずに縫製、全体的にも革漉きは厚め、永く愛用していただけるように縫製しています。
根革はブッテーロ
持ち手の金具のジョイントの革は一番負担がかかります。
ブッテーロ約3㎜厚の裏に、伸び止めテープとブッテーロを0.8㎜に漉いて補強しています
![](https://i0.wp.com/his-factory.com/wp-content/uploads/2020/04/PC260012.jpg?resize=900%2C675&ssl=1)
2枚合わせて5.6㎜(下側だけ0.4㎜漉いた)
アドラー0番糸縫製
![](https://i0.wp.com/his-factory.com/wp-content/uploads/2020/04/PC260027.jpg?resize=900%2C675&ssl=1)
さらに、土台のブッテーロ(ワイン)3.2㎜と本体のプエブロ(オルテンシア)1.8㎜、裏に補強芯材0.8㎜と一緒に縫製。
本体のコバ磨き
![](https://i0.wp.com/his-factory.com/wp-content/uploads/2020/04/P1070001.jpg?resize=900%2C675&ssl=1)
本体とマチを合わせた後、豆カンナで面取り
![](https://i0.wp.com/his-factory.com/wp-content/uploads/2020/04/P1070003.jpg?resize=900%2C675&ssl=1)
サンドペーパー仕上げ、目止め液をつけ、ヘチマで磨き上げ、さらに乾拭きで艶を引き出しています。
![](https://i0.wp.com/his-factory.com/wp-content/uploads/2020/04/P1070016.jpg?resize=900%2C675&ssl=1)
最後のまとめの縫製もアドラーによる0番糸縫製。
![](https://i0.wp.com/his-factory.com/wp-content/uploads/2020/04/P1070025.jpg?resize=900%2C675&ssl=1)
両サイドアオリ付き。裏地はワインレッド。
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通常のポケット+ペン差しポケット。
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筆記体の焼き印
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マチ120
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底鋲は日本製の真鍮。
デザインスケッチ
全て型紙から制作のフルオーダーはお客様の希望を聞いて、まずスケッチを描かせていただきます。
スケッチの段階で確認しスタートする場合と試作を何度か作ってから確認していただいてからスタートする場合とあります。
今回は原型のブリーフ鞄polaccoのサイズ変更、仕様変更だったので、スケッチの段階からスタート。
(※数ヶ月前からのお客様の順番で仕掛かりさせていただいています。)
![](https://i0.wp.com/his-factory.com/wp-content/uploads/2020/04/Doc-2020-04-10-23-42.jpg?resize=727%2C900&ssl=1)
初めは裏地の色はカーキグリーンでしたが、数ヶ月後別件でお話ししている時、急に閃いて根革のワインと同じだと素敵かもと変更しました。
以前ブランド物もいくつか使った事があったけど味気がなく、エムピウの財布に出会ってからイタリアの育つ革に興味がわき、HIS-FACTORYにも辿り着いたというエピソードを聞いた時(約一年前)とてもうれしかったです。ワークショップも色々ご紹介いただきましてありがとうございます、今年2月末の”レザー倶楽部”は延期になってしまいましたが終息したらまた宜しくお願いします。