セミオーダーを始めて間もない2010年ごろ、まだ型数は少なくバナナショルダーとトートバッグ位しかありませんでした。
近所で仲良くしていただいているカフェ&BARの女マスターの”さっちゃん”のお母さんに気に入ってもらいミネルバボックスのR.アンティコで作らせていただきました。
と、素朴な疑問が。
BARの女性マスターってなんて呼ぶのでしょうか?。
ママ?、女将、オーナー?、マスターって言うと男性をイメージしてしまいます。
バナナショルダーMサイズ
さっちゃんのお母さんは申し訳なさそうに「裏地がだいぶ汚くなっちゃったんだけど直せる?、気に入ってるんだよね・・・」
「うあ、こんなに使い込んでくれてるんですね!何年くらい経ちますかね?」
7〜8年、いや10年位ですね、確かにスカイツリー開業前後だったよと盛り上がった。
喜んで交換させていただきます!
だいぶ使い込まれてます。
ここまで使ってくれるなんて嬉しい。
中の様子は。。。
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この箇所の裏地が破けてしまっていました。
さて、まずは糸ほどき
まずは真鍮の丸カンと本体をジョイントしている根革の糸をほどきます。
そしてひっくり返した様子がこちら。
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全体的にも色がくすんでます。だいぶ使われたのがよく分かる。
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まずはヘリ巻き(グログランテープ)を解く。2〜3目ごとに糸切り鋏で切っていく。
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マチと胴体が離れた。
裏地作り
裏地は全て新しく作り直す。
綿素材、ポケットは最近のバージョンに変更、ファスナーも新品。
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最近はファスナーの窓枠をやめ、スライダーが上に向くように作っている。
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センターや角はほつれ防止で三角に縫製。
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10年前と比べてみた。
本体の縫製
本体の身ごろと新品の裏地の間に新品のファスナーを挟み、いよいよ縫製。
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すでに10年前に縫製した針穴が開いているが一目も逃さず同じ穴に縫製。8番糸。
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まとめ縫製の次は、グログランテープでヘリ巻き。昔は業界用語でボロ隠しとも言った。ラッパという道具を使うと早く仕上がるが、セットするのが面倒なので指の感覚で巻きながら縫製。
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これからひっくり返す。
根革と本体の縫製
根革は10年物のブッテーロ/ピンク。
まだまだ使用できると判断し再利用。
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使い込まれてオイルが滲み出て艶も増している。同じ穴に0番糸を一目一目縫います。
完成
これで、また毎日のお供にさせていただきます。
10年も使い込んでいただけて、修理してまた使っていただける。
当時から描いていた事ができて、作り手冥利につきます。
ミネルバボックス/R.アンティコの経年変化
ミネルバボックス/R.アンティコの約10年の経年変化。
見事に使い込まれ、色見は深みが増し、艶が上がっています。
一度も手入れをしてないはずです。
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旧モデルはセンターにステッチが入っている。
ミネルバボックス/R .アンティコの元色はこちら
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現在のモデルは、身ごろもマチもステッチ無し
ミネルバボックスとは
イタリア植物タンニン鞣し協会が認める”牛脂”を使用した”バケッタ製法”で作られているミネルバボックス。
薄化粧仕上げのため傷やトラは隠れにくい反面、素材の味を活かす唯一無二の個性のある表情があります。
使い込むほどに色艶が上がってくる表情はイタリアならではのナチュラル感溢れる経年変化がお楽しみいただけます。
タンナー:イタリア、トスカーナ・バダラッシ・カルロ社