ひとつ目の特徴は持ち手を真鍮パイプにくぐらせて持ち上げるだけで開口部が自動的に閉じる構造です。ショルダー部分にはあらかじめパイプが通してあり、背負った状態では開かない仕組みになっています。左右の留め具を使えばきちんと閉じることもできます。

ふたつ目の特徴はボディ部分の二重構造です。丸みを帯びた内袋を丈夫で厚みのある一枚革で「U」の形に覆うことで保護しています。外側の革には横マチがないため側面の形状が固定されず柔軟に対応できます。パソコンや書類など平らなものを入れれば薄く収まり、嵩張るものを入れれば中身に合わせた厚みが出ます。

内袋は厚手の帆布を使用したボディに横マチ部分を革で構成したコンビネーション構造です。マチには外革と同じ素材を用いており、一体感のある馴染んだ外観を実現しています。

帆布部分（内袋外側）にはポケットがあり、鞄を閉じたままでも横から手を差し込んで携帯電話やカードケースを取り出せます。また、外革との隙間が縫い付けられていないため、新聞や雑誌を一時的に挟んでおくことも可能です。ただし、横に傾けると落ちる可能性があるため短時間の利用をおすすめします。

袋の内部には綿素材が張られ、両面それぞれにホック付きポケットとファスナー付きポケットが配置されています。

外革と内袋のマチ部分には〈プエブロ〉を、持ち手やショルダーには色落ちが少ない〈ブッテーロ〉（D.brownのみ〈マレンマ〉）を使用しています。ただし、天然素材のため、雨や汗などで濡れると色移りする可能性がございます。

〈プエブロ〉は、一枚ずつ手作業で表面をサンド加工して仕上げられています。和紙のようなざらっとした初めの風合いは、経年変化によってバフが落ち着き、次第に艶が増していきます。また、エイジングが進んでも表面に濃淡が残るため、独特の複雑な表情を保ち、小傷などが目立ちにくいのが特徴です。

パイプやギボシの金具には無垢の真鍮を使用しており、使い込むほどに磨かれ、鈍い金属特有の質感が増していきます。まさに、素材すべてが「育てる楽しみ」を味わえる鞄と言えるでしょう。